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7. 精神鑑定は未発達段階
刑事事件では、精神鑑定が行われる場合があります。
心神喪失等が認められれば、刑が減免されます。
これは、刑法の基本的な立場や考え方に則したものです。
刑法の考え方としては、
@ 構成要件
A 違法性
B 責任
の順に検討していき、すべてに該当した場合のみ、犯罪が成立します。
@構成要件とは、犯罪を構成する行為等条件のことで、
条件に該当するかどうか、です。
次に、A違法性の有無です。
行為があっても、違法性がなければ犯罪ではありません。
最後にB責任の段階で、責任があったか、
責任能力があったかなどをみます。
刑事未成年者などは、ここで外れます。
精神障害もここです。
この『責任』という言葉は、一般的な意味と異なります。
刑法上では、『道義的非難できる』という意味です。
故意があったかもこの段階です。
流れとして@からBが、客観から主観になっています。
Bの責任では、行為者の特段事情を見るのです。
心神喪失は、薬物やアルコールがわかりやすいと思います。
酩酊状態で自分がどこにいるかも
何をしているかもわからずしてしまった行為は、
心神喪失状態にあったといえるでしょう。
しかし、薬物などによる心神喪失等は刑を減免させません。
精神障害は、精神医学や犯罪心理学の分野ですが、これは未発達段階です。
脳などに物理的障害がある場合ならともかく、
そうでない病気を、裁判上科学的に証明することは、困難です。
国や時代、裁判官によって、判断がかなり変わります。
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